【2026年3月改正対応】医療広告ガイドライン完全ガイド|オンライン診療・SNS規制の変更点も解説
医療広告ガイドライン(医療広告等ガイドライン・令和8年3月30日改正)の規制対象・禁止広告8類型・広告可能事項・限定解除4要件・オンライン診療受診施設・SNS/動画広告の注意点・罰則までを実務者向けに解説。
最終改正:令和8年(2026年)3月30日/本記事は一次情報(厚生労働省 医療広告等ガイドライン・事例解説書第6版)に基づき作成。
医療広告ガイドラインとは何か?
医療広告ガイドラインとは、厚生労働省が令和8年(2026年)3月30日に最終改正した医療広告の公式実務指針であり、正式名称は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」であり、令和8年3月30日改正で通称が「医療広告等ガイドライン」に改められた。医療法(昭和23年法律第205号)第6条の5等に基づき、患者等の利用者保護を目的として制定されている。
本記事は、医療広告ガイドラインの定義・規制対象・禁止広告類型・広告可能事項・限定解除要件・オンライン診療受診施設に関する広告・違反時の罰則・他法令との関係を網羅的に解説する。病院・診療所の開設者・管理者、医師・歯科医師、広告代理店・アフィリエイター、行政担当者が対象読者となる。

医療広告の定義はどう判断するのか?
医療広告に該当するかどうかは、①誘引性と②特定性の両要件を満たすかどうかで判断する。どちらか一方でも欠ければ、原則として広告規制の対象とならない。
- 誘引性:患者の受診等を誘引する意図があること
- 特定性:医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名・名称、または病院・診療所の名称が特定可能であること
例えば、新聞記事は特定の病院を推薦する内容であっても「誘引性」の要件を満たさないため、原則として広告に該当しない。一方、医療機関が自らのウェブサイト等に掲載する治療等の内容または効果に関する体験談は広告に該当する(医療広告ガイドライン第2の1)。
広告に該当する媒体の具体例
規制対象となる媒体は多岐にわたる。チラシ・パンフレット・ダイレクトメール・ポスター・看板・新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・インターネット広告・Eメール・ウェブサイト・SNS広告など、文書その他いかなる方法によるを問わず対象となる。
平成29年(2017年)の医療法等の一部を改正する法律(平成29年法律第57号)により、医療機関のウェブサイト等も他の広告媒体と同様に規制の対象となった。これ以前はウェブサイトは原則規制対象外とされていたが、美容医療に関する相談件数の増加を背景に消費者委員会からの建議(平成27年7月7日)を受けて法改正が行われた経緯がある。
通常、医療広告とは見なされないものの具体例
以下のものは原則として広告に該当しない。
- 学術論文・学術発表等:誘引性を有さないため(ただし不特定多数へのダイレクトメール送付等は除く)
- 新聞・雑誌等での記事:誘引性を通常は有さないため(記事風広告は除く)
- 患者等が自ら掲載する体験談・手記等:医療機関からの依頼や謝礼がない場合に限る
- 院内掲示・院内配布パンフレット等:既に受診している患者等に限定されるため
- 医療機関の職員募集に関する広告(求人広告):受診誘引性がないため
医療広告規制の対象者は誰か?
医療広告規制の対象者は、医師・歯科医師・医療機関だけでなく、何人も対象とされる。医療法第6条の5第1項は「何人も」と規定しており、マスコミ・広告代理店・アフィリエイター・患者・一般人等すべての者が対象となる。
特に注意が必要なのはアフィリエイター(閲覧した人を誘引することを目的としてブログ等で紹介し、その成果に応じて報酬が支払われる広告を行う者)も規制対象に明示されている点である。また、日本国内向けの広告であれば、外国人や海外の事業者等による広告(海外から発送されるダイレクトメールやEメール等)も規制の対象となる。

禁止される広告にはどのような類型があるか?
医療広告ガイドラインが禁止する広告は大きく8類型に分類される。このうち虚偽広告は罰則付きで禁止されており、最も厳格な規制が適用される。
(1)虚偽広告
内容が虚偽にわたる広告は、医療法第6条の5第1項により罰則付きで禁止されている。患者等に著しく事実に相違する情報を与え、適切な受診機会を喪失させ、不適切な医療を受けさせるおそれがあるためである。
- 「絶対安全な手術です!」「どんなに難しい症例でも必ず成功します」→医学上あり得ないため虚偽広告
- 「厚生労働省の認可した○○専門医」→専門医資格認定は学会が実施するものであり虚偽広告
- 加工・修正した術前術後の写真等の掲載→虚偽広告
- 「○%の満足度」(根拠・調査方法の提示がないもの)→虚偽広告
(2)比較優良広告
特定または不特定の他の医療機関と自らを比較し、施設規模・人員配置・提供医療内容等について自らが他の医療機関よりも優良である旨を広告することは禁止される(医療法第6条の5第2項第1号)。事実であっても禁止される。
- 「日本一」「№1」「最高」等の最上級表現
- 「当院は県内一の医師数を誇ります。」
- 「著名人も○○医師を推薦しています」
- 「芸能プロダクションと提携しています」
(3)誇大広告
必ずしも虚偽ではないが、施設規模・人員配置・提供医療内容等について事実を不当に誇張して表現したり、人を誤認させる広告は禁止される(医療法第6条の5第2項第2号)。「人を誤認させる」とは、一般人が広告内容から認識する「印象」や「期待感」と実際の内容に相違があることを常識的判断として言えれば足りる。
- 「知事の許可を取得した病院です!」(許可を強調し特別な許可を得た病院と誤認させる場合)
- 「○○学会認定医」(活動実態のない団体による認定)
- 「比較的安全な手術です。」(何と比較して安全か不明)
- 「○○センター」(法令上の根拠なく、または都道府県等の認定なく使用する場合)

わいせつ若しくは残虐な図画・映像または差別を助長する表現等を使用した広告など、公序良俗に反する内容の広告は禁止される(医療法第6条の5第2項第3号)。
(5)広告可能事項以外の広告
医療法第6条の5第3項により、法または広告告示により広告が可能とされた事項以外は、原則として広告できない。「専門外来」という表記は広告可能な診療科名と誤認を与える事項であり広告不可。死亡率・術後生存率等も原則として広告不可(医療機能情報提供制度において報告が義務付けられた事項を除く)。未承認医薬品による治療内容も広告不可。
(6)患者等の主観に基づく体験談
省令第1条の9第1号により、患者その他の者の主観または伝聞に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談の広告は禁止される。体験談の記述内容が広告可能な範囲であっても、広告は認められない。ただし、個人が運営するウェブサイト・SNSの個人ページ・第三者が運営する口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどの誘引性が認められない場合は、広告に該当しない。
(7)誤認させるおそれがある治療前後の写真等(ビフォーアフター写真)
省令第1条の9第2号により、いわゆるビフォーアフター写真等は原則として広告禁止。ただし、術前または術後の写真に通常必要とされる治療内容・費用等に関する事項や、治療等の主なリスク・副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合はこれに当たらない。なお、当該情報の掲載場所については患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式は採用してはならない。
(8)その他(品位を損ねる広告等)
品位を損ねる内容の広告は厳に慎むべきとされている。特に費用を強調した広告は品位を損ねる広告として問題となる。
- 「今なら○円でキャンペーン実施中!」
- 「期間限定で○○療法を50%オフで提供しています」
- 「○○治療し放題プラン」
- 「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」
また、景表法(不当景品類及び不当表示防止法)・医薬品医療機器等法・健康増進法・不正競争防止法等の他法令に関連する広告ガイドラインで禁止される内容の広告も行ってはならない(厚生労働省「医療広告ガイドライン」令和6年3月22日改訂版)。
広告可能事項にはどのような内容が含まれるか?
医療広告として広告可能な事項は、医療法第6条の5第3項および広告告示(平成19年厚生労働省告示第108号)に列挙された事項に限定される。以下が主な広告可能事項である。

- 第1号:医師または歯科医師である旨(日本の免許を有する場合に限る)
- 第2号:診療科名(政令第3条の2で定められた診療科名または厚生労働大臣の許可を受けたもの)
- 第3号:病院または診療所の名称・電話番号・所在の場所を表示する事項・管理者の氏名
- 第4号:診療日・診療時間・予約による診療の実施の有無
- 第5号:法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた旨(保険医療機関・労災保険指定病院等)
- 第6号:医師少数区域経験認定医師である旨
- 第7号:地域医療連携推進法人の参加病院等である旨
- 第8号:入院設備の有無・病床数・医師・歯科医師・薬剤師・看護師その他の従業者の員数等の施設・設備・従業者に関する事項
- 第9号:医療従事者の氏名・年齢・性別・役職・略歴および専門性資格(広告告示に定める基準を満たす団体が認定するもの)
- 第10号:患者または家族からの医療に関する相談に応ずるための措置・医療の安全を確保するための措置・個人情報の適正な取扱いを確保するための措置その他の管理・運営に関する事項
- 第11号:紹介可能な他の病院・診療所または保健医療サービス・福祉サービスを提供する者との連携に関する事項
- 第12号:診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報の提供・医療に関する情報の提供に関する事項
- 第13号:提供される医療の内容に関する事項(検査・手術その他の治療の方法については広告告示で定めるものに限る)
- 第14号:手術件数・分娩件数・平均入院日数・患者数等の医療の提供の結果に関する事項(広告告示で定めるものに限る)
- 第15号:勤務する医師又は歯科医師がオンライン診療受診施設を利用してオンライン診療を行う病院・診療所にあっては、当該オンライン診療を行う旨及びその内容に関する事項(令和8年3月30日改正で新設)
- 第16号:その他前各号に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項(健康診査の実施・予防接種の実施・患者の受診の便宜を図るためのサービス等)
専門医資格の広告について
医師・歯科医師の専門性資格については、一般社団法人日本専門医機構または一般社団法人日本歯科専門医機構が行う認定(基本的な診療領域に係るものに限る)を受けた旨を広告可能である。また、令和3年10月1日の広告告示改正前に旧告示に基づき厚生労働大臣に届け出た団体が認定する専門医等の資格(医師58団体56資格、歯科医師5団体5資格)については、当分の間、引き続き広告することができる。
「厚生労働省認定○○専門医」等は虚偽広告として取り扱われる。単に「○○専門医」との表記も誤解を与えるものとして誇大広告に該当するものとして指導等が行われる点に注意が必要である。
広告可能事項の限定解除とはどのような仕組みか?
広告可能事項の限定解除とは、一定の要件を満たしたウェブサイト等において、通常は広告できない事項も広告可能とする仕組みである。医療法第6条の5第3項および省令第1条の9の2に規定されている(大阪府「病院等の広告規制について」)。

限定解除が認められるのは、以下の①〜④のすべてを満たした場合に限る。なお、③および④については自由診療について情報を提供する場合に限る。
- 患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること(メルマガ・患者の求めに応じて送付するパンフレット等も該当しうる)
- 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会できるよう、問い合わせ先(電話番号・Eメールアドレス等)を記載することその他の方法により明示すること
- 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容・費用等に関する事項について情報を提供すること(標準的な費用・治療期間・回数を含む。標準的な費用が明確でない場合は最低金額から最高金額の範囲を示す)
- 自由診療に係る治療等に係る主なリスク・副作用等に関する事項について情報を提供すること
インターネット上のバナー広告や、検索サイト上でスポンサーとして表示されるもの、費用を支払って意図的に検索結果の上位に表示される状態にしたものは①を満たさないため、限定解除の対象とならない点に注意が必要である。
未承認医薬品等を自由診療で使用する場合の追加要件
医薬品医療機器等法において承認等されていない医薬品・医療機器・再生医療等製品を自由診療で使用する場合は、限定解除の要件として以下の内容についても十分に記載する必要がある。
- 未承認医薬品等であることの明示
- 入手経路等の明示(医師等の個人輸入による場合はその旨を明記し、厚生労働省ホームページの「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページを情報提供すること)
- 国内の承認医薬品等の有無の明示
- 諸外国における安全性等に係る情報の明示
- 未承認医薬品等は医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の救済の対象にならないことの明示
オンライン診療受診施設に関する広告とは何か?
令和8年3月30日改正の目玉は、オンライン診療受診施設に関する広告規制の新設である。医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)によりオンライン診療が法制上に位置づけられ、患者がオンライン診療を受ける場所として「オンライン診療受診施設」が創設された。これに伴い、医療広告等ガイドラインに新たに「第4 オンライン診療受診施設に関する広告について」が設けられた(2026年4月1日施行)。
オンライン診療受診施設とは、その設置者が業として、オンライン診療を行う医師・歯科医師が勤務する病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院に対して、そのオンライン診療を患者が受ける場所として提供する施設をいう(法第2条の2第2項)。自ら主体的に医療を提供する施設ではない点で、病院・診療所とは異なる。
広告該当性は3要件で判断する。①誘引性(オンライン診療受診施設での受診等を誘引する意図があること)、②特定性(オンライン診療受診施設の名称が特定可能であること)、③医業・歯科医業又は病院・診療所ではなくオンライン診療受診施設に関する内容であること、のいずれも満たす場合に該当する。なお、当該施設で提供される医療の内容そのものは医療広告に該当する。
規制対象者は主体によって分かれる。オンライン診療を実施する医療機関が主体となって広告する場合は当該医療機関が、施設を設置する法人等が主体となって広告する場合は当該法人等が、それぞれ広告規制の対象となる。
最重要の明示義務。オンライン診療受診施設は医療を提供するものではないため、その旨を医療を受ける者が理解できる方法により明示した上でなければ広告できない(法第6条の7の2、省令第1条の10の2)。その上で、医療を受ける者による医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない事項(施設の名称・所在地・設備・営業時間・予約の有無等)に限って広告が可能である。
あわせて、医療機関側の広告可能事項にも第15号が新設され、勤務する医師・歯科医師がオンライン診療受診施設を利用してオンライン診療を行う場合には、その旨及び内容を広告できるようになった。オンライン診療を扱う、または対面診療と併用するクリニックは、自院サイトの該当記載を現行版で確認する必要がある。
違反広告にはどのような措置・罰則が適用されるか?
違反広告に対しては、行政指導から刑事罰まで段階的な措置が規定されている。都道府県・保健所設置市・特別区が指導等の措置を担う。

- 行政指導:違反広告の中止・是正を求める。違反広告物の回収・廃棄等の指導も含む
- 報告命令・立入検査(医療法第6条の8第1項):任意の調査に応じない場合等に実施
- 中止命令・是正命令(医療法第6条の8第2項):行政指導に従わない場合や悪質な事例に適用
- 告発:刑事訴訟法第239条第2項に基づき司法警察員に対して書面により告発
- 行政処分(医療法第28条・第29条):管理者変更命令・開設許可の取り消し・閉鎖命令
罰則の内容
- 虚偽広告(医療法第6条の5第1項違反)・中止命令または是正命令違反:6月以下の懲役または30万円以下の罰金(医療法第87条第1号)
- 報告命令違反・立入検査拒否:20万円以下の罰金(医療法第89条第2号)
行政指導に従わず中止命令・是正命令または刑事告発等を実施した際には、原則として事例が公表される。命令等の対象者は、個人の場合は当該個人、病院・診療所の場合はその開設者または管理者、広告代理店・雑誌社・新聞社・放送局等の場合はその代表者となる。
他の法令との関係はどうなっているか?
医療広告規制は医療法だけでなく、景表法・医薬品医療機器等法・健康増進法・不正競争防止法等が重畳的に適用される。医療法違反であれば、同時に他の法令にも違反している可能性が高い(長崎県「医療広告規制」)。
- 景表法(不当景品類及び不当表示防止法・昭和37年法律第134号):商品または役務の品質等について実際のものよりも著しく優良であると示す表示等(不当表示)を禁止。虚偽広告・誇大広告等は景表法第5条にも同時に違反する可能性が非常に強い
- 医薬品医療機器等法(昭和35年法律第145号):医薬品・医療機器等の名称・効能・効果・性能に関する虚偽・誇大広告を禁止(第66条第1項)。承認前の医薬品・医療機器の広告も禁止(第68条)
- 健康増進法(平成14年法律第103号):食品として販売に供する物に関して健康の保持増進の効果等について著しく事実に相違する表示等を禁止(第31条第1項)
- 不正競争防止法(平成5年法律第47号):役務の広告等にその役務の質・内容・用途・数量について誤認させるような表示をする行為等を禁止(第21条第2項)
他法令に違反するとの理由や他法令に基づく処分を受けるとの理由で、医療法の広告違反が免責されることはない。他法令にも抵触する広告である場合にも、医療法または本指針による必要な指導等が適切に実施される。
ウェブサイト・SNS運用で特に注意すべき点は何か?
医療機関のウェブサイト・SNS・ランディングページ・QRコード遷移先等はすべて広告規制の対象となる。「自院のホームページは広告ではないから関係ない」という認識は、現行法上は通用しない。

- 患者の体験談・口コミ掲載:医療機関が費用負担等の便宜を図って掲載を依頼している場合は広告に該当し、禁止される
- ビフォーアフター写真:詳細な説明(治療内容・費用・リスク・副作用等)を付さない場合は禁止。説明は目立つ位置に適切な文字サイズで掲載する必要がある
- 「専門外来」という表記:広告可能な診療科名と誤認を与える事項として原則広告不可(ただし保険診療や健康診査等の広告可能な範囲であれば「糖尿病」「花粉症」等の特定の治療や検査を外来の患者等に実施する旨の広告は可能)
- 費用のキャンペーン表示:「今なら○円でキャンペーン実施中!」「期間限定50%オフ」等は品位を損ねる広告として禁止
- 「アンチエイジングクリニック」という名称・キャッチフレーズ:アンチエイジングは診療科名として認められておらず、広告不可
- 「最高の医療を提供します」等の最上級表現:比較優良広告に該当し禁止
- ステルスマーケティング:医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなど実質的に誘引性が認められる場合は広告として取り扱われる
ウェブサイトのURLやEメールアドレスにも注意が必要
病院等のウェブサイトのURLやEメールアドレスも規制対象となる。例えば「www.gannkieru.ne.jp」(ガン消える)は癌が治癒することを暗示しており誇大広告に該当する。「nolhospi@xxx.or.jp」(No.1Hospitalを連想させる)は比較優良広告に該当する。
SNS・動画広告で新たに注意すべき点は何か?(2026年3月改正)
令和8年3月30日改正では、事例解説書(第6版)にSNS・動画における広告事例が大幅に追加された。これまで判断が曖昧だったInstagram・YouTube・TikTok等での発信について、何が違反となるかが具体的に示された。クリニック名・診療内容への言及と受診を促す意図が重なる投稿は、SNSや動画であっても医療広告として規制対象となる(誘引性・特定性の充足)。院長やスタッフの個人アカウントであっても、実質的に医療機関の広告と認められる場合は対象となる。
SNS・動画で特に問題となりやすいのは、ウェブサイトと同じく次の類型である。
- 体験談:公式アカウントの投稿に対し、他者ユーザーが治療の効果・感想を書き込んだコメントを引用・固定表示するなど、実質的に体験談を紹介する形式は違反となる。
- ビフォーアフター写真:公式アカウントやバナーから遷移した先のSNSに、治療内容・費用・主なリスク・副作用等の詳細な説明を付さずに術前術後写真を掲載することは違反となる。
- 費用を強調した広告:「期間限定」「〇〇オフ」等の費用強調は、動画・SNSでも品位を損ねる広告として認められない。
- 無関係なハッシュタグ:投稿内容と関係のないハッシュタグ(例:施術と無関係な集客目的のタグ)を大量に付す行為も、不適切な誘引として問題とされる。
- 自由診療の限定解除不備:SNS・動画では情報が断片化しやすいため、費用・リスク等の限定解除に必要な情報を、一体的かつ一覧性をもって(同一投稿・同一動画内等で)提供する必要がある。
「一体的かつ一覧性をもった情報提供」が鍵となる。ウェブサイトでは1ページ内で完結できた費用・リスク等の説明が、SNS・動画では複数投稿・別リンクに分断されやすい。第6版では、閲覧者が当該情報を無理なく一体として認識できる形で提供することが求められている。QRコードやプロフィール欄のリンク遷移先も広告規制の対象である点に留意する。
UGC(クチコミ・レビュー)を収集・活用する場合も同様で、医療機関が費用負担等の便宜を図って掲載を依頼している、否定的な内容を削除している、肯定的な内容を優先表示しているなど、医療機関の関与により誘引性が生じる場合は広告に該当し、体験談規制の対象となる。患者が医療機関の関与なく自発的に投稿したものは、原則として広告に該当しない。
広告指導・相談窓口はどこに設置されているか?
医療広告に関する相談窓口は、各都道府県・保健所設置市・特別区に設置されている。具体的には医療安全支援センターや保健所の医療法担当部署等が窓口となる。
違反が疑われる広告等については、都道府県等において法や本指針に抵触しないか否かを確認し、判断できない場合は厚生労働省医政局総務課(Eメール:iryoukoukoku@mhlw.go.jp)に照会する手順が定められている。消費者行政機関(消費生活センター等)との連携も規定されており、景表法等の他法令に違反する可能性がある場合は関係法令の主管課室が連携して指導・処分等を行う。
医療広告ガイドラインへの対応でお困りの医療機関・広告代理店の担当者は、厚生労働省の公式ガイドラインおよびQ&Aを一次情報として必ず確認した上で、都道府県等の相談窓口を活用することを強く推奨する。自院のウェブサイトやSNS運用が現行規制に適合しているか、今すぐ点検を開始してほしい。
よくある質問
医療広告ガイドラインの最新版はいつ改正されたか?
令和8年(2026年)3月30日に最終改正された。ガイドライン本体・Q&A・事例解説書(第6版)の3文書が同時に更新された。厚生労働省の公式ページから全文PDFを入手できる。
クリニックのホームページは医療広告規制の対象になるか?
対象になる。平成29年の医療法改正により、医療機関のウェブサイト等も他の広告媒体と同様に規制対象となった。「ホームページは広告ではない」という認識は現行法上通用しない。
患者の体験談をホームページに掲載してもよいか?
医療機関が費用負担等の便宜を図って掲載を依頼している場合は広告に該当し、禁止される。医療機関側の関与なく患者が自発的に掲載したものは原則として広告に該当しない。
自由診療のビフォーアフター写真は掲載できるか?
通常は禁止だが、限定解除の4要件を満たしたウェブサイトにおいて、治療内容・費用・主なリスク・副作用等の詳細な説明を付した場合は掲載可能。説明は目立つ位置に適切な文字サイズで記載する必要がある。
「日本一」「No.1」という表現は医療広告で使えるか?
使えない。最上級の比較表現は事実であっても比較優良広告に該当し禁止される。客観的な事実であっても「日本一」「№1」「最高」等の表現は認められない。
広告代理店やアフィリエイターも医療広告規制の対象になるか?
対象になる。医療法第6条の5第1項は「何人も」と規定しており、広告代理店・アフィリエイター・患者・一般人等すべての者が規制対象となる。違反があった場合は広告依頼者とともに指導等の対象となり得る。
虚偽広告を出した場合の罰則はどの程度か?
虚偽広告(医療法第6条の5第1項違反)には6月以下の懲役または30万円以下の罰金が適用される(医療法第87条第1号)。報告命令違反・立入検査拒否には20万円以下の罰金(医療法第89条第2号)が適用される。
「専門外来」という表記はウェブサイトに掲載できるか?
原則として広告不可。ただし、保険診療や健康診査等の広告可能な範囲であれば「糖尿病」「花粉症」「乳腺検査」等の特定の治療や検査を外来の患者等に実施する旨の広告は可能であり、専門外来に相当する内容を一律に禁止するものではない。
自由診療の料金キャンペーンをウェブサイトで告知してもよいか?
禁止される。「今なら○円でキャンペーン実施中!」「期間限定50%オフ」等の費用を強調した広告は品位を損ねる広告として医療広告ガイドラインで禁止されている。
医療広告ガイドラインに関する相談はどこにすればよいか?
各都道府県・保健所設置市・特別区の医療安全支援センターや保健所の医療法担当部署が相談窓口となる。判断が困難な場合は厚生労働省医政局総務課(iryoukoukoku@mhlw.go.jp)に照会できる。
結論
医療広告ガイドライン(現行の通称は「医療広告等ガイドライン」)は令和8年3月30日最終改正の厚生労働省公式指針であり、ウェブサイト・SNS・ランディングページを含む全媒体が規制対象となる。虚偽広告には6月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。自由診療サイトは4要件(患者自ら求めて入手・問い合わせ先明示・費用情報提供・リスク情報提供)をすべて満たせば広告可能事項の限定を解除できる。医療機関・広告代理店は今すぐ自院のウェブサイトを点検し、厚生労働省の公式ガイドラインおよびQ&Aを一次情報として確認した上で、必要に応じて都道府県等の相談窓口を活用することを強く推奨する。